AIO対策という言葉を聞く機会が増えてきました。
ChatGPTやGeminiなどの生成AIが普及し、これまでGoogleで検索していたことを、
「おすすめを教えて」
「自分の場合はどれがいい?」
「A社とB社ならどちらが向いている?」
とAIに相談する人が増えています。
すると企業側にも、新しい問いが生まれます。
「これからはSEOではなく、AIO対策をやるべきなのか?」
僕は、少し違うと考えています。
AIによって情報を探す方法は変わっていきます。
しかし、
選ばれるためのファンダメンタルまで変わるわけではありません。
むしろAIが大量の情報を比較・整理するようになるほど、
自社にしかない一次情報、専門性、実績、顧客の声、そして「自分たちは何者なのか」というブランドの明確さが、これまで以上に重要になっていくと思います。
この記事では、AIOをAI向けの特殊テクニックとしてではなく、
GoogleにもAIにも、そして人にも、自社の価値を正しく理解してもらうための情報設計
として考えていきます。
1.AIO対策とは何か
AIOは一般に、AI Optimization、つまりAIに理解・参照・推薦されやすい状態をつくるための最適化という意味で使われています。
似た言葉として、
AEO
GEO
LLMO
などもあります。
ただし、この分野はまだ用語が完全に統一されているわけではありません。
そのためこの記事では、細かな名称の違いよりも、
生成AIが情報を探し、整理し、回答をつくる時代に、企業はWeb上の情報をどう整えるべきか
という意味で「AIO対策」という言葉を使います。
大切なのは、AIOを「AI向けSEO」のような新しい小技として捉えないことです。
実際、Googleは2026年に公開した生成AI検索向けの公式ガイドで、AI OverviewやAI Modeでも従来のSEOのベストプラクティスは引き続き重要だと説明しています。生成AI機能もGoogleの検索ランキングや品質評価の仕組みを土台としているためです。
つまり、
SEOをやめてAIOへ移る
のではありません。
SEOの土台を、AIにも理解される状態へ広げていく。
これがAIOを考えるときの基本だと思います。
Google Search Central|生成AI検索向け最適化ガイド
2.「検索する」から「AIに相談する」時代へ
これまで情報を探す行動は、比較的シンプルでした。
何か困りごとが起きる。
Googleで検索する。
検索結果から複数のWebサイトを見る。
比較する。
購入したり問い合わせたりする。
たとえばオンライン英会話を探すなら、
「オンライン英会話 おすすめ」
と検索し、比較サイトや各サービスのWebサイトを確認する。
そんな行動が一般的でした。
しかし生成AIでは、最初からかなり具体的な相談ができます。
たとえば、
「40代で仕事で英語を使う必要があります。週2回くらいしか勉強時間が取れません。初心者でも続けやすいオンライン英会話を教えてください」
と聞く。
するとAIが条件を整理し、複数の情報を調べ、候補を比較してくれる。
OpenAIのChatGPT Searchも、自然な会話形式で質問しながらWeb上の情報を検索し、回答と情報源を提示する仕組みになっています。
情報収集の入口が、
検索窓にキーワードを入れる
から、
AIに状況ごと相談する
へ広がっているわけです。
従来
課題
↓
Google検索
↓
複数サイトを見る
↓
比較
↓
購入・問い合わせ
AI時代
課題
↓
AIに相談
↓
AIが情報を整理・比較
↓
候補を提示
↓
必要に応じてWebサイトを確認
↓
購入・問い合わせ

この変化によって、企業側にも新しい課題が生まれます。
検索結果で見つかるだけでなく、
AIから見ても「この企業はこの質問の候補になる」と理解される必要がある
ということです。
3.SEOは終わらない。AIOという新しい入口が増えた
生成AIが普及すると、
「SEOは終わる」
という話がよく出てきます。
でも僕は、むしろ逆だと思っています。
AI検索という新しい行動が増えても、従来のGoogle検索が突然なくなるわけではありません。
さらに重要なのは、生成AI自身もWeb上にある情報を手がかりとしていることです。
Googleは公式に、生成AI検索機能がGoogle Searchの主要なランキング・品質システムを活用していると説明しています。
OpenAIも、ChatGPT SearchにWebサイトを掲載対象として認識してもらうためには、OAI-SearchBotがサイトをクロールできる状態にしておくことが重要だと案内しています。
だから、
SEO vs AIO
ではありません。
僕なら、
SEO + AIO
と考えます。

SEOは、検索エンジンが企業やコンテンツを理解できる土台を整える。
AIOは、その情報を生成AIにも理解・参照されやすい状態へ広げていく。
関係としてはこちらの方が自然です。
Webサイト・コンテンツ・一次情報
↓
SEOによって検索エンジンが理解できる状態をつくる
↓
AI検索・生成AIからも参照される機会が広がる
というイメージです。
4.AIもWeb上の情報を見ている
AIは、何もないところから企業を推薦しているわけではありません。
たとえば、
「この会社は何をする会社なのか」
「どんな分野に詳しいのか」
「どんな実績があるのか」
「その主張には裏付けがあるのか」
「どんな人に向いているのか」
といった情報がWeb上になければ、AI側も判断材料を持てません。
これは人間でも同じです。
Webサイトに、
「高品質なサービスを提供します」
とだけ書いてある企業と、
どんな課題を持つ顧客に、
どんな方法で、
どんな成果を提供してきたのか、
具体的な実績や事例まで公開している企業。
どちらが信頼しやすいでしょうか。
AI時代になるほど、
Web上にどれだけ判断材料を持っているか
が重要になります。
5.AI時代ほど一次情報とSEOの基本が重要になる
ここが今回の記事で一番伝えたいところです。
AIによってコンテンツを大量に作れるようになりました。
一般論をまとめるだけなら、以前より圧倒的に簡単です。
だからこそ、逆に価値が上がるものがあります。
それが、
その会社にしか持てない情報
です。
たとえば、
実際の顧客とのやり取り。
自社独自の調査。
失敗した経験。
成功事例。
商品開発の背景。
顧客からよく聞かれる質問。
現場で分かったこと。
創業者の思想。
自社で実際に試して得たデータ。
こうした一次情報です。
Googleも生成AI検索向けの公式ガイドで、独自で有用なコンテンツや、専門家の経験に基づいた非コモディティな情報を重視するよう案内しています。
逆に、AIで大量生成しただけで付加価値の乏しいページを大量に作る行為は、Googleのスパムポリシーの対象になり得ます。
つまりAI時代は、
AIで文章を書くことそのもの
が競争力になるわけではありません。
AIでは作れない材料を企業がどれだけ持っているか
の方が重要になっていきます。

6.AI検索では「キーワード」から「質問」へ
SEOではこれまで、
「SEO 東京」
「オンライン英会話 おすすめ」
「テレビCM 費用」
のような検索キーワードを考えることが基本でした。
もちろん、これは今後も重要です。
ただ生成AIでは、ユーザーの質問がもっと長く、具体的になります。
例えば、
「社員50人程度でマーケティング責任者がいない会社ですが、外部CMOと広告代理店のどちらを使うべきですか?」
と聞くことができます。
この質問には、
会社規模。
組織体制。
課題。
比較対象。
意思決定。
まで含まれています。
そうなると企業側も、
単語に答えるコンテンツ
だけでは足りません。
顧客が実際に抱える状況や疑問に答える必要があります。
たとえば、
「どんな会社に向いているのか」
「AとBは何が違うのか」
「導入前に何を準備すべきか」
「どんな場合はやらない方がいいのか」
「実際にどんな成果が出たのか」
といった情報です。
FAQ。
比較記事。
課題別コンテンツ。
事例。
顧客から実際によく聞かれる質問。
こうしたコンテンツは、SEOにもAIOにも共通して価値があります。
7.AIに理解される企業は「何の会社か」が明確
AIOについて考えていると、最後はブランドの話に戻ってきます。
なぜならAIに、
「この会社を、どんな質問のときに候補として挙げればいいのか」
を理解してもらうには、
企業自身が、
誰に、どんな価値を提供している会社なのか
を明確にしておく必要があるからです。
たとえば、
「マーケティング会社です」
だけでは非常に広い。
Web制作なのか。
広告運用なのか。
ブランド戦略なのか。
SEOなのか。
経営者のマーケティング支援なのか。
AI側にも、ユーザー側にも判断しにくい。
これはAIOの問題というより、
ブランドの定義の問題
です。
ラテンサムライでも、自社の記事を作る際には、
「検索順位を上げるために、どんなキーワードを書くか」
だけではなく、
ラテンサムライは何を考え、どんな課題を解決する会社なのか
がGoogleやAI、そして読者に伝わるようにテーマを積み重ねています。
最近であれば、
ブランド戦略。
ブランド・アイデンティティ。
指名検索。
ブランドとWebマーケティング。
SEO。
AIO。
これらをバラバラの記事としてではなく、
ブランドとマーケティングをどう事業成長につなげるか
という一つの考え方の中で発信しています。
AIOを突き詰めていくと、
結局、
企業は何者なのか
という問いに行き着く。
ここが面白いところです。
8.AIO対策で今から整えたい5つのこと
では、企業は具体的に何をすればいいのでしょうか。
僕なら、特殊なAI施策を始める前に、まず次の5つを確認します。
1.自社が何の会社なのかを明確にする
誰に、どんな価値を提供するのか。
どんな課題で選ばれたいのか。
まずここを整理します。
2.一次情報を増やす
一般論だけではなく、
実績。
顧客の声。
導入事例。
独自データ。
自社での検証。
現場で得た知見。
など、その会社にしか言えない情報を蓄積します。
3.顧客の質問に答える
キーワードだけではなく、
実際に営業や問い合わせで聞かれる質問をコンテンツにします。
4.Webサイトの構造を整える
企業情報、サービス、事例、FAQ、記事などが分かりやすくつながっているか。
検索エンジンやAI以前に、人間が理解しやすい構造になっているかを確認します。
5.クロール・計測環境を確認する
Googleだけでなく、必要であればOAI-SearchBotなどAI検索系のクローラーがサイトへアクセスできる状態か確認します。
OpenAIは、ChatGPT Searchへの掲載対象となるにはOAI-SearchBotを許可することが重要だと公式に案内しています。
9.AI時代に価値が下がるもの、上がるもの
今回、デジタルマーケティングの専門家とSEOやAIOについて話していて、もう一つ印象に残ったことがあります。
それは、
AIによって「作業」の価値と「判断」の価値が大きく分かれていく
ということです。
例えば、
検索順位を一覧にする。
アクセスデータをExcelにまとめる。
定型的なレポートを作る。
一般的なSEO記事を書く。
こうした作業は、AIによってかなり効率化できます。
だから、作業そのものだけを価値として提供するサービスは、価格競争になりやすくなるでしょう。
一方で、
データを見て何が起きているのか判断する。
競合や市場を見て、何を優先するか決める。
施策をやるか、やらないか決める。
ブランドや事業戦略まで含めて意味を考える。
こうした仕事は、むしろ重要になります。
データを出すことより、データから何を読み取るか。
施策を実行することより、何を実行すべきか判断すること。
AI時代には、この差がさらに大きくなると思います。
10.広告だけではなく「受け皿」を整える
AIOの話は、AIだけで終わりません。
たとえば広告で多くの人をWebサイトへ集めても、
サービス内容が分からない。
他社との違いが伝わらない。
事例がない。
問い合わせしにくい。
といった状態なら、成果にはつながりにくい。
SEOも同じです。
AIOも同じです。
どこから人が来るかだけではなく、
来た人に何を伝え、どう比較され、どう選ばれるか
まで考える必要があります。
だからマーケティングは、
認知
↓
検索・AI相談
↓
Webサイト
↓
比較
↓
問い合わせ・購入
↓
継続
まで一気通貫で見る必要があります。
広告だけを最適化する。
SEOだけを最適化する。
AIOだけを最適化する。
ではなく、
顧客がブランドと接する体験全体を整える。
ここが重要です。
11.AIOで見るべき数字も、結局は事業成果
AIO対策というと、
「AIに何回表示されたか」
「ChatGPTで名前が出るか」
ばかり気になりがちです。
もちろん、こうした数字も初期指標としては意味があります。
GoogleではAI ModeやAI Overviewの接触もSearch Consoleのパフォーマンスデータに反映されています。
またOpenAIでは、ChatGPT Searchからの参照URLに utm_source=chatgpt.com が自動付与されるため、Google AnalyticsなどでChatGPT経由の流入を確認できます。
ただし、本当に見たいのはその先です。
AI経由の訪問が増えたか。
問い合わせにつながったか。
商談の質はどうか。
売上につながったか。
指名検索が増えたか。
ブランドへの理解が深まったか。
AIOもマーケティング施策の一つである以上、
最終的には事業成果につながっているか
で判断する必要があります。
12.まとめ|AI時代だからこそ、基本が大事になる
AIによって、情報の探し方は確実に変わっています。
Googleで検索するだけではなく、
ChatGPTやGeminiへ相談し、
AIに整理・比較してもらい、
候補を教えてもらう。
そんな行動はこれからさらに増えるでしょう。
しかし、だからといって、
SEOが不要になるわけでも、
AI専用の特殊なテクニックだけを始めればいいわけでもありません。
Google自身も、生成AI検索においてSEOの基本や、独自で有用な情報を重視する姿勢を明確にしています。
AIに理解されるためには、まずWeb上に理解できる情報が必要です。
そして、その情報の中身を強くするには、
自社は何者なのか。
誰にどんな価値を届けるのか。
なぜ自社が選ばれるのか。
を整理する必要があります。
だから僕は、
AIで検索の形は変わる。
しかし、選ばれるためのファンダメンタルは変わらない。
むしろ、もっと重要になる。
と考えています。
AIO対策を突き詰めていくと、
最後はSEOの基本へ戻り、
さらにその先で、
ブランドそのものをどうつくるか
という問いにつながっていくのだと思います。
AIOありきではなく、何を優先すべきかから整理します
「AIO対策をした方がいいのか」
「まずSEOを見直すべきなのか」
「Webサイト自体を変えるべきなのか」
「広告を使うべきなのか」
企業によって答えは違います。
場合によっては、その前に、
自社の強みや提供価値を整理するところから始めた方がいい
こともあります。
ラテンサムライでは、特定の施策を前提にするのではなく、
今どこに課題があり、何を優先すべきなのか
から一緒に整理します。
AIO、SEO、Web、広告、ブランド。
手段からではなく、まず課題から考えたいという方は、その段階からご相談ください。