STPのおさらい。S・T・Pはそれぞれ何を意味する?
前回までの記事では、セグメンテーション、ターゲティング、ペルソナについて紹介してきました。
ここで一度、STPを整理しておきます。
S = Segmentation(セグメンテーション)
市場を分けること。
T = Targeting(ターゲティング)
分けた市場の中から、自社の価値を最も高く評価してくれる見込み客を選ぶこと。
そして今回扱うのが、
P = Positioning(ポジショニング)
です。
ポジショニングでは、
選んだ顧客の頭の中で、競合と比べてどんな立ち位置を取るのか
を考えます。
つまり、
市場を分ける
→ 誰を狙うか決める
→ その人の中でどう位置づけられるかを考える
という流れです。
ブランド・マネージャー認定協会でも、ポジショニングは「ペルソナの心の中で独自性を築ける立ち位置を見つける」工程として整理されています。
1.ポジショニングは「自社の立ち位置を決めること」ではない

ポジショニングというと、
「自社はこの市場でこういうポジションを取ります」
と、企業側が勝手に立ち位置を決めるイメージを持つことがあります。
でも、それだけでは少し違います。
大事なのは、
顧客の頭の中で、どう位置づけられるか
です。
自社が「高品質ブランドです」と言っても、顧客から見てそう思われていなければ意味がありません。
逆に、
競合より価格が高くても、
「ここなら安心できる」
「このブランドなら人に薦めたい」
「他にはない体験がある」
と思われていれば、そこに独自のポジションがあります。
ポジショニングは、
企業側の宣言ではなく、顧客の認識を考える作業
だと思っています。
2.前回のペルソナから、なぜポジショニングへ進むのか
前回の記事では、ターゲットを一人の顧客像として具体化するために、ペルソナを考えました。
年齢。
仕事。
生活。
価値観。
不満。
好きなこと。
嫌いなこと。
幸せを感じる瞬間。
ここまで見えてくると、
次に考えたいのが、
「この人は、競合と自社をどう比べるだろう?」
です。
同じ商品カテゴリーでも、顧客によって評価軸は違います。
価格を重視する人もいれば、
品質。
安心感。
デザイン。
人とのつながり。
社会性。
体験。
を重視する人もいます。
だから、ポジショニングはペルソナの次に考えると分かりやすいんです。
3.ポジショニングは、競合との比較の中で決まる
ポジショニングを考えるとき、競合を見ることは避けられません。
なぜなら顧客は、
自社だけを見て判断しているわけではない
からです。
他社の商品。
他社のサービス。
代替手段。
何もしないという選択。
そうしたものと比べながら、
「どれが自分に合うか」
を決めています。
つまり、
独自性は単独では存在しない。比較の中で生まれる。
ということです。
ブランド・マネージャー認定協会でも、ポジショニングでは競合との類似と違いの両方を見る考え方が示されています。
4.機能的価値だけで差別化しない
ポジショニングというと、
「高品質 vs 低価格」
「高機能 vs シンプル」
のように、機能的な違いだけを考えがちです。
もちろん、それも重要です。
ただ、顧客が感じる価値は機能だけではありません。
協会のアドバンスコースでは、ポジショニングを見る際に、
- 機能的価値
- 情緒的価値
- 社会的価値
- 顧客属性
- 利用状況
- 購買・契約状況
- 競合との類似
- 競合との違い
といった複数の切り口を使います。
これが面白いところです。
5.機能的価値だけでなく、情緒的価値も見る
例えば飲食店なら、
機能的価値は、
「料理がおいしい」
「駅から近い」
「価格が手頃」
かもしれません。
でも情緒的価値では、
「安心する」
「ワクワクする」
「特別感がある」
「人に話したくなる」
といった違いが出てきます。
同じ商品でも、
何を感じるか
でポジショニングは大きく変わります。
6.社会的価値もポジショニングになる
さらに今は、
環境。
健康。
地域貢献。
サステナビリティ。
社会課題への姿勢。
といった社会的価値も、ブランド選択に影響します。
例えば、
同じ食品でも、
「おいしい」だけではなく、
「地域の生産者を支援している」
「フードロス削減につながっている」
といった価値に魅力を感じる顧客もいます。
協会のテキストでも、社会的価値をポジショニングの切り口の一つとして扱っています。
7.顧客属性や利用状況も、立派なポジショニングになる
ポジショニングは商品特徴だけではありません。
例えば、
誰のための商品か
でも独自性が出ます。
家族向け。
一人暮らし向け。
初心者向け。
専門家向け。
こうした顧客属性もポジショニングになります。
さらに、
どんなときに使うか
でも違いが出ます。
日常使い。
ご褒美。
ギフト。
仕事。
旅行。
休日。
利用状況や購買状況まで見ることで、
競合との違いが見えやすくなります。
8.熱海の夜をどうポジショニングするか
ここで、これまで紹介してきた熱海の夜のケースで考えてみます。
もし熱海の夜を、
「東京より安く飲める場所」
として位置づけたらどうでしょう。
確かに価格は分かりやすい。
でも、それだけでは競合が多い。
東京にも安く飲める街はあります。
横浜にもある。
大宮にもある。
つまり、価格だけでは独自性が弱い。
一方で、
「予定調和ではない偶発的な出会いがある夜」
という切り口ならどうでしょう。
癖のある店主。
偶然隣に座った人。
知らなかった店。
少し訳ありな人たち。
予定していなかった出来事。
こうした熱海の夜ならではの体験に価値を感じる人にとっては、
他の街とは違うポジション
が見えてきます。
9.ポジショニングマップは「空いている場所探し」ではない
ポジショニングでは、
2つの軸を使ってマップを作ることがあります。
例えば、
「高価格 ←→ 低価格」
「カジュアル ←→ 高級」
といったものです。
ただ、
空いている場所を見つけたから、そこに行けばいい
という話ではありません。
その場所に、
顧客ニーズがなければ意味がありません。
さらに、
自社がその価値を提供できなければ意味がありません。
大事なのは、
顧客に価値がある
×
自社に実現できる
×
競合と違いがある
ということです。
10.軸は「企業側」ではなく「顧客側」で考える
ポジショニングマップの軸も、企業側が考えやすいものだけで決めるべきではありません。
例えば、
「高い/安い」
という軸でも、
年収や価値観によって意味は変わります。
同じ1万円でも、
高いと感じる人もいれば、
安いと感じる人もいる。
協会テキストでも、ポジショニングマップはペルソナの心の中の位置づけなので、価格の判断も設定した経済環境や価値観によって変わるとされています。
つまり、
軸そのものも顧客視点で決める必要がある
ということです。
11.ポジショニングは一つの軸だけで決めない
実務では、
「これが正解のポジショニングです」
と一発で決まることは少ないと思います。
機能。
情緒。
社会性。
顧客属性。
利用状況。
購買方法。
競合との違い。
いろいろな角度でマップを作ってみる。
その中から、
どこが一番自社らしく、顧客に価値があり、競合との差が出るか
を探していきます。
このプロセス自体が重要です。
12.ポジショニングの先にブランド・アイデンティティがある
ポジショニングを整理すると、
最後に見えてくるのが、
自社は顧客からどう思われたいのか
です。
これがブランド・アイデンティティにつながります。
協会テキストでも、複数のポジショニングマップの中から最も独自性があり差別化できるものを選び、
- 顧客は誰か
- 顧客に何を期待されているか
- 競合より優れた能力は何か
- 自分たちが提供したい価値は何か
を考えながら、「こう思われたい」を言語化してブランド・アイデンティティへつなげていきます。
つまり、
ポジショニングは、ブランド・アイデンティティを決める直前の重要な工程
です。
まとめ|ポジショニングは「顧客の頭の中」で考える
ポジショニングとは、
単に自社の立ち位置を決めることではありません。
大切なのは、
顧客の頭の中で、競合と比べたときにどう位置づけられるか。
です。
そして、
機能だけではなく、
情緒。
社会性。
顧客属性。
利用状況。
購買方法。
など、さまざまな角度から考えていく。
そこで見えてきた独自性が、
最終的に、
「顧客からどう思われたいか」
というブランド・アイデンティティにつながります。
どこで「選ばれるか」を一緒に整理します
競合との違いが分からない。
強みはあるけれど、顧客からどう見られるべきか整理できていない。
そんな段階でも大丈夫です。
ラテンサムライでは、
市場。
ターゲット。
ペルソナ。
ポジショニング。
ブランド・アイデンティティ。
を一緒に整理しながら、
自社がどこで選ばれるべきか
を考えます。
気になるテーマがあれば、そのままご相談ください。